アフロを目指して。の巻

ドラムのビリーさんの髪型はアフロなのか?

これって割と難しい質問だと思います。
例えば、街角の人々にこんな写真を見せて、「この人の髪型はなんでしょうか?」って街頭アンケートをやったとしたら、まぁ、半分くらいの人は「アフロ」って言うと思います。



(■写真:ビリーさん)


でも、ほかの半分の人は

「モジャモジャ」(→おそらく 1 番人気)

「でっかい」

「モサモサ」

「ファンキー」

などの、具体的な髪型というよりは、色々な形容をしちゃうと思います。これはたぶん、ビリーさんの髪型がアフロというには丸みが足りていないからだと思います。
パーマをかけて髪をでっかくすればアフロになるんじゃなくて、やっぱり丸くなってないとアフロとは言えないので、ビリーさんの髪型はアフロから微妙にズレちゃってるんだと思います。

しかも、もっと納得いかないのは、あんな髪型にしているのに帽子を被りがちなところです。



(■写真:帽子onビリーさん)


帽子の左右から「モジャモジャ」が出ている感じを本人は気に入っているのでしょうけど、僕からすれば、パーマをかけるなんていう恐ろしい科学技術に手を染めているのに、その事実を、帽子を被って中途半端に世間から隠しているということがどうしても許せません。

僕は「どんなことでも、自分が正しいと思うことをやるのなら、堂々とやるべきだ」というポリシーで生きています。例えば、人を批判する場合は、正々堂々本人に向かって言うべきだと考えています。陰口なんてもってのほか。
だからインターネットの「2 ちゃんねる」も嫌いです。匿名で何かを語ったところで、匿名にすることでそのことへの反論を避けているとしか思えません。批判するなら、その批判への批判も受け入れなければナンセンスだと思います。僕は全ての匿名での語りがナンセンスだと言っているのではありません。匿名での語り(特に批判)が無責任なものになることが多く、ナンセンスなものになる傾向があると個人的に感じているというだけのことです。


そんなわけで僕たちの日常に話を戻すと、スタジオで曲をつくっているときに、他の人のアレンジに対していろいろ口出しするときに、僕はどうもキツイ言い方になることが多いようです。
前回のスタジオでも、ビリーさんが叩いたフィルイン(曲のつなぎ目に叩いたりするやつ)に対してこんなやりとりがありました。


石像「あのー、サビで叩いてるフィルあるじゃないですか?」

ビリー「ん?どれ?あー、あれ?」(そのフィルを叩く)

石像「それそれ。それやめてもらっていいですか。そのショボ・・・」

一同「ちょっ(笑)」


キツイ言い方になりがちという自覚があるので、やっぱり立派な大人としてはできるだけマイルドな言い方を心がけているのですが(実際はまったく気にしていません)、今回は余計なひと言の最初の部分が顔を出してしまいました。
しかし、他のメンバーのみんなは良いやつらなので、この僕の「キツイひと言」というやつも笑ってくれるのですが、おそらく言われたビリーさん本人のハートには見事に傷を付けているのでは、と思っています。
ビリーさんの寿命を削ってしまわないように、なるべくジェントルマンになれるように気を付けていきたいと思いますが、最初に言ったポリシーは譲れません。言うべきことは堂々と言っていきたいと思います。


説明が回り道をしてしまいました。つまり言いたかったのは、どうせやるなら「モジャモジャ」ではなく、堂々と「アフロ」を目指すべきだと思っているということです。

(雑記)

ちなみに僕はこれまで、アフリカ系の人には、ナチュラルにアフロの人がいると思っていましたが、すべての人がパーマをかけてアフロになっているという事実を最近知りました。アフロは、公民権運動のときに、人種差別に抵抗する意志をこめて作られたアメリカで始まった髪型なのだそうです。この場を借りて、全アフリカ系の人々に僕の勘違いを謝りたいと思います。


アフリカについて触れたついでに、僕の大好きなアフリカ文学の超名作を 1 つ紹介して終わりにしたいと思います。
ナイジェリアの作家のエイモス・チュツオーラの『やし酒飲み』という作品です。
「わたしは十になった子供の頃から、やし酒飲みだった。」という語りから始まるこの作品は、やし酒を飲むしか能のない男が、死んでしまった彼のやし酒作りを探して冒険を繰り広げる物語です。主人公は鳥になったり、なんとなく神になったり、石になったりしながら、死者や動物、妖怪の境界が滅茶苦茶になった世界で、ジェットコースターのように押し寄せる超展開を次々にやり過ごしながら、粛々と冒険を繰り広げていきます。日本語もとんでもないことになっていて、一つの文章のなかで口調が変わったり、意味不明のことを当然のことのように述べたりしながら、僕ら読者にめまいを引き起こす、モンスター級の作品です。いちいちツッコミを入れながら読むと、いつまでたっても読み終わりません。

正直にいって、かなり読者を選ぶ作品ではありますが、もしも興味を持った方は、最近岩波でも文庫になったので手に取ってみてはいかがでしょうか。


石像