言いたいことも言えないこんな世の中じゃ、ポワゾン。の巻

今日は思ったことを言おう。相手に何らの配慮もなく、おもんばからず言おう。
と、決めた。


今日はデートである。通常相手の気分を害さぬ程度の気を使っているけれども、今日は違うよ。
私はパッション、衝動のままに言うのだ。


当然衣服などにも気を使わない。寝着で行こうかな、と思えども、ポケットがないと財布などの収納に困るのです。


待ち合わせの時間、場所なんて知るか、と適当にブラブラしていた本音の私に対して、見知らぬ人びとが通り過ぎる際、


「ばっきゃろう!」


「このルンペンが!」


「髪を切れ、このクソヒッピーめ!」


などと罵るので、本音の私は言い返そうとしたが、別に言いたいことなど何もなかった。


偶然デートの相手に会い、「よう」と言うと、「くさっ!」と言われ、エルボーされ、前のめりになったところを膝蹴りされノックアウトされた。


悲しいので、「暴力はやめて」と言ったが無駄であった。
相変わらず蹴られ、私は「痛い。いたたた。止めて。止めて。助けて」と本音を吐露したのである。
見知らぬ人びとが私を見て笑いながら唾を吐きかけパンクがするように踊っていた。


そのパンクらはヤンキーに絡まれ、「すいません。すいません」と泣きそうになりながら謝罪し、逃げていった。


まったくもってなんたる事態であろうか。


藤谷☆ゆーた